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公的保険の全体像【事業者が知っておくべき「守りの仕組み」の地図】

2025年11月19日

事業の安定化に欠かせない「公的な備え」

個人で事業を運営する方にとって、売上や利益を伸ばすことと同じくらい大切なのが、「万が一の事態」に備えることです。
病気やケガ、老後の生活、失業など、様々なリスクから私たちや家族の生活を守ってくれる仕組みが、社会保険(公的保険)です。
社会保険は、複雑で難解なイメージがありますが、その全体像を理解しておけば、ご自身の事業の形態や成長に合わせて、最適な備えを選択できるようになります。

本記事では、この公的保険がどのような柱で成り立っているのか、全体像を分かりやすく整理していきます。

1. 公的保険を構成する「5つの分野」

社会保険は、以下の5つの異なる保険制度の総称です。それぞれが、異なるリスクに対応する役割を持っています。

保険制度目的・役割
健康保険病気やケガをしたときの医療費の自己負担を軽減する。
年金保険老後の生活、大きな障害、一家の働き手の死亡時に給付を行う。
介護保険介護が必要になったときの費用負担を軽減する。(40歳以上から加入義務)
雇用保険失業時や育児・介護休業時に、生活費の給付を行う。
労災保険仕事中や通勤途中のケガや病気、死亡に対して給付を行う。

これら5つの保険のうち、「事業主本人」と「従業員を雇う事業主」とでは、加入の仕組みや保険料の負担方法が大きく異なります。

2. 「医療・年金」と「労働」:2つの保険領域の区別

公的保険の5つの柱は、「健康と年金」に関する分野と、「雇用と労働」に関する分野の2つの領域に分けることができ、これが事業の形態を選ぶ上で非常に重要になります。

(1) 健康・年金・介護の領域(国民全員の義務)

日本に住む全ての人が、何らかの形で加入が義務付けられています。

  • 個人で事業を行う場合: 健康保険は「国民健康保険」、年金は「国民年金」に加入するのが基本です。保険料は全額自分で納めます。
  • 法人を設立し、従業員を雇う場合: 従業員は「健康保険」と「厚生年金」に加入します。保険料は事業主と従業員が半分ずつ(折半)負担します。

(2) 労働の領域(雇用主としての義務)

これは、誰かを雇用している事業主のみに関係する領域です。

  • 従業員がいる場合: 雇用する従業員全員を「雇用保険」と「労災保険」に加入させる義務が発生します。保険料の負担方法も健康保険などとは異なります。

3. 保険料計算の仕組みの違い:「報酬」と「所得」

健康保険や年金保険の保険料は、事業形態によって計算のベースとなるものが異なります。

  • 国民健康保険・国民年金(個人で事業を行う場合の保険料):
    • 国民健康保険料は、前年の所得や住んでいる自治体のルールによって複雑に計算されます。
    • 国民年金保険料は、原則として全員一律の定額です。
  • 健康保険・厚生年金(法人を設立した場合の保険料):
    • 毎月の給与(報酬)を一定の幅で区切った「標準報酬月額」をベースに計算されます。給与が上がれば、保険料も連動して上がります。

この計算方法の違いが、手取り額や将来の年金額に大きく影響してきます。

まとめ:自分の事業に最適な保険制度を知る

公的保険は、私たち事業者のセーフティネットであり、義務でもあります。

特に、個人事業から法人設立へ移行を検討する際には、この保険制度が大きく変わることを理解し、トータルの負担や将来の安心感にどう影響するかを把握することが、安定経営の第一歩となります。

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